徒然ブック

サッカーや映画の感想、日常生活などをつらつら書いていくブログ

ヴィッセル神戸の2018シーズンを振り返るページ

f:id:mu-to1213:20181210155128j:plain

予想できたことと、できなかったこと

前シーズンの躍進や元ドイツ代表ルーカス・ポドルスキの加入もあり、盛大な野望を抱いて臨んだ2017シーズンはネルシーニョ監督が解任に追い込まれるほどの大苦戦。途中から指揮を執ることになった吉田孝行監督の元、何とか残留を果たす苦しいシーズンだった。

しかし、それで心が折れるほどヤワなクラブではないのがヴィッセル神戸。今シーズンもオフシーズンから積極的な補強を敢行する。ベガルタ仙台から三田啓貴アビスパ福岡からウェリントンなどの即戦力を獲得し、帰ってきた男チョン・ウヨンも加わるなど、中盤より前は非常に豪華な顔ぶれに。

一方で、昨シーズン不動の主力だった岩波(浦和へ移籍)の抜けたCBには、浦和で出場機会を失っていた那須大亮を補強するのみにとどまり、やや不安を残すことになった。もっとも、1番不安視されていたのはCBではなかったのだが……。

多くの人が予想していた吉田孝行解任

吉田孝行ヴィッセル神戸のレジェンドであるというのを、否定するサポーターは少ないと思う。2010年の奇跡的な残留の立役者であり、引退した2013年にはチームを1年でのJ1昇格に導いてくれた。最後の試合となった熊本戦(ノエスタまで観に行った)、試合後にゴール裏まで来て自分のチャントを歌っていた姿は忘れられない。

しかし一方で、彼が監督としてチームを高みに導いてくれると、心から信じていたサポーターも少なかったのではないか。実際、途中から監督に就任した昨シーズンは、残留こそ決めたもののチームは順調にトーンダウン。「続投しても辛い別れになりそうだから、今シーズン限りにしてくれ」と、天皇杯で劇的に散った後に思った人はたくさんいたはず。しかし、クラブは彼を続投させ「バルサ化しつつACLを目指す」という、新米監督には余りにもハードなタスクを与えた。

mu-to1213.hatenablog.com

それでも、予想していたよりは粘り強く戦えた。開幕3試合未勝利と出だしで躓き、その後も勝ったり負けたりな日々が続いたが、大崩れすることもなく目標であるACL圏内の3位を窺える位置につけていた。渡邊千真とウェリントンの2トップは、バルサっぽいかと言われれば微妙だが確かに機能していた。

しかし、8月の天皇杯サガン鳥栖に良いところなく敗れると、リーグ戦でも守備の崩壊を止めることができず3連敗。案の定那須がスタメンに定着できず、脆弱だったCBにJリーグ史上初のカタール人選手アフメド・ヤセル徳島ヴォルティスの大崎玲央を獲得し、テコ入れを敢行したものの功を奏さず。大混戦だったリーグ戦でこの連敗は致命的であり、ACLよりも降格がチラつく順位へと転落したところで、とうとう吉田監督の命運は尽きてしまった。

正直、これ以上続けても何も改善されないような印象はあった。問題点は山のようにあったが、そもそも今シーズンは「ポドルスキがズルズル下がってくる問題」を解決するため、配球力・展開力のある三田やウヨンを獲得したはず。ところが選手の質は上がってもビルドアップの質は上がらず、結局はポドルスキがズルズル下がってきていた。

加えてこのドイツ人キャプテン、味方がボールを持っているときはズルズル下がってくるのに対して、敵がボールを持って攻撃してきているときは下がってこないという問題も抱えていた。しかし、吉田監督はその問題も解決できず、コロコロ彼のポジションを弄り、最終的に左サイドで起用。結果どうなったか。

  1. ポドルスキがボールを貰いに中央に下りてくるため、中央が渋滞。ボールの出しどころも少なくなる
  2. もっとも破壊力のあるポドルスキが低い位置にいるので、ボールを持っていても脅威がない
  3. ポドルスキがサイドの守備を放棄するので、守備に難のある左SBティーラトンの裏が狙われる

百害あって一利なしの起用法。結果的にこの起用が守備の崩壊や攻撃の停滞を生み、吉田監督の監督生命を奪ったように思う。

色々しがらみもあって思うような采配が振るえなかったのかもしれないが、結局、吉田監督もコーチのエンゲルスも、目の前の課題に対処できる能力を持っていなかった(そもそもバルサ化と言っているのに何でコーチがドイツ人のエンゲルスなんだ)。昨シーズンからの課題は解決するどころか更に悪化していた。

クラブが配置換えという形で監督の職を解いたのは正しかったと思う。でも、そもそも今シーズンを任せるという判断は大きな間違いだった。素人のサポーターでも分かっていた。この責任は有耶無耶になりそうだけれど、とりあえずTwitterの更新が8月で止まったままの社長に取ってほしい。

予想外だったイニエスタの加入

最初に「イニエスタヴィッセル神戸へ」という報道が出たときは、ガセだと思った。昨シーズンのポドルスキのときもガセだと思ったら来たけど、今回は流石にないだろうと思った。

なんで来たんだ……。

ポドルスキや今シーズンサガン鳥栖に加入したフェルナンド・トーレスとは違い、まだ欧州の一流クラブでバリバリやれていて、なおかつワールドカップにも出る選手が来てしまった。この事態に神戸サポは大興奮。他チームのサポーターは「その金(年俸33億)を他のことに使え」「8番奪われる三田がかわいそう!」など、否定的な意見を大合唱。その癖どこもイニエスタ目当てにスタジアム押しかけてたけど。

個人的には大歓迎だった。だって上手いもん。上手い人のプレーは観ていて楽しいし、試合を観る理由に十分なる。それにチームは始動日から一貫してバルサ化を志していたんや、フィットしないはずがないじゃないか。結果どうなったかは、前の見出しで分かるように、イニエスタ加入=チーム力アップとはならなかった。

ただ、チームに上手く組み込むことはできなかったが、イニエスタ自体は期待に十分応えるプレーを見せてくれた。

見よ、この美技を……!

ワールドカップに出場し、ろくに休みもないままチームに加入。頭のおかしくなるような猛暑や混乱するチームの中でプレーしていても、このくらいのクオリティを見せてくれる。たっぷり休みがとったうえでプレーしてくれる来シーズンが今から楽しみだ。

街中ですれ違っても気づかないだろうな……。

予想外のリージョ就任

前述したように、吉田監督は9月で退任。注目されたのは、後任候補だ。正直ここでエンゲルスの昇格とか吉田達磨氏辺りを招聘するとかになっていたら、「ちょっと距離置こうかな」となっていたかもしれない。しかしそこはバルサ化を目指すクラブである。しっかり後任候補は確保していたようだ。

就任までの段取り良すぎて絶対前々から接触してたなって思う。

リージョは一言でいうと「勝てないグアルディオラ」だと思う。そのグアルディオラ本人から師として崇められるほど優れた戦術理論家であるが、理論家過ぎて何を言っているか分からないと評判の人物であり、あのバルサ相手に真っ向勝負を挑み0-8で爆死する監督でもある。

www.footballista.jp

統計なんてTバックさ。

正直、勝てる監督かと言われると微妙な気がするが、「バルサみたいなサッカー」がしたいならぴったりな指揮官ではないだろうか。日本人のなんちゃって監督にならなくて良かった……。

実際、10月に指揮を執ってからは2勝3分け1敗。その前が壊滅的な状況だったことを考えれば、よく立て直してくれたと思う。識者からの評価も上々。たった数週間でビルドアップの動きが洗練されてきていると専らの評判だ。数か月の期間があった前任者……。

来シーズンはキャンプからみっちり戦術を仕込むことができるはず。期待しすぎは禁物だが、それでも今からとても楽しみにしている。

来シーズンへの期待

リージョが最初から指揮を執って、イニエスタも休養十分。ポドルスキもようやく役割がはっきりしてきた。来シーズンに向けてワクワクは増える一方だが、もう一つ大きなサプライズがあった。

ここまで来ると怖いな。キャリア的に最晩年なのは間違いないし、そこまで期待はできないかもしれないが、それでもビジャだ!スペイン代表の最多ゴール保持者だ!バレンシア時代から好きでした!来シーズン観れるのがとても楽しみ。

個人的に期待している選手は古橋亨梧。イニエスタらと同じく夏の加入組だったが、瞬く間にフィットして、今ではチームに欠かせない選手になっている。見ていると、イニエスタポドルスキと同じビジョンを描ける神戸では数少ない選手だなと思うし、上手くいけば代表だって狙えるポテンシャルを持っていると思うので、頑張ってほしい。

昨シーズン終了時と違い、今は早く来シーズン開幕しないかなという想いが強い。来シーズンの今頃、ブログで愚痴っていなければいいなぁと思う。そうそう、最後に一つだけ……。

退団セレモニー、やって欲しかったな……。